ブレンド秘話

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タカノコーヒー”ブレンド秘話”

ブレンド秘話


弊社の現300gマイルドブレンド、ジャーマンブレンドは正にタカノの歴史を物語っているコーヒーなんです。名前、規格等は変わっても味の本質は何も変わっていません。

先代が創業(1950年)当時に造ったブレンドは5つありましたが、いずれもコロンビア、ブラジル、モカが中心で、あとはグアテマラ、マンデリン等を少し混ぜると言った単純なものでした。欧州の方では10種類以上混ぜると言った話は聞いていますが・・・。
創業当時は業務用オンリーでしたのでより安定感を求めた結果なのでしょう。

とにかく今だから言いますけど(ある意味当然ですが)、業務用はブレンドの味が安定しない場合、本来のブレンド内容とは違う国の豆を混ぜて本来の味に戻すという調整法をする場合があったのです。家庭向け商品では一括表示があるのであり得ませんね。
ブレンド名も、A,B,C,D,Eミックスといった本当に単純な呼び方でした。(笑)
ブレンドの事を”ミックス“って呼んでたんです。(今は死語ですか?)
某大手の会社も業務用は番号で呼んでいて、今でもそうだと思います。(分かっちゃいます?)
そしてその当時、弊社で一番人気ブレンドが、“Aミックス”(やや酸味系)とCミックス(やや苦味系)だったんです。この2つが現在の、マイルドとジャーマンブレンドになんです。

そして20年くらい前に業務用から家庭向けへの転換期にこの2つのブレンドを家庭向けに商品化したのですが、とにかく商品化と言ってもどうしたら良いか分からず、とにかく日持ちのするパッケージが良いと思い真空パックに目を付けたんです。工場で焼いた豆を粉砕し、それを真空パックにしてくれる工場に委託して既製品の金ピカのアルミパックに詰めたんです。そして出荷する直前にピンホール検査をして、表にブレンド名のシール、裏に一括表示のシールを張って出荷したものです。(結構手間がかかりました。)
大容量パックとして、リーズナブルプライスを強調した商品でした。
真空ですから表面はシワシワで固く、今思えば個性的?でした。(笑)

ところが、某通販さんのバイヤーにこの商品を見せたら、これがいいよと言ってくれたんです。企画が決まった時は本当に嬉しかったですよ。(今でもそのバイヤーは恩人と思っています。)そしてこの“シワシワ金ピカパック”が物凄く売れたんです。(笑)
この頃の商品の事を覚えていただいている某通販さんの消費者も結構いらっしゃるかもしれません。

その後色々な某通販さんやスーパーさん等で展開が始まり、真空パックでは生産性に問題があったので、バルブつきのアルミソフトパックに切り替えました。
デザインはほぼそのままで、ソフトパックでシワシワも無く炭酸ガスの抜けるバルブもあり、裏面には一括表示は勿論、下部にはJANコードも付いていて本当に感激したものです。
コストカットしたお陰で順調に売れ行きも良くなり消費者からもお褒めのお言葉をよく頂戴したのもこの頃です。

ところが6年前になりますか、思わぬことがコーヒー業界に襲いかかったのです。
エチオピア産モカの農薬問題による輸入禁止事件です。これには驚きました。
大げさかもしれませんが青天のへきれきでした。
天下の″モカコーヒー“が使えないのですから・・・。
弊社にとってもモカは欠かせないコーヒーです。
先程申し上げた業務用の裏ワザではないですが、仕方なく数年間は他の豆を使用することで同じ味になるよう努力致しましたが、モカにとって代わる豆は無く、完全には同じ味は造ることができませんでした。

この様な紆余曲折を経て数年前やっとモカが解禁になり本来の味に戻すことができたのです。
そしてこれをきっかけに去年20数年ぶりに全面リニューアルでデザインを一新して発売したのが現在の300g仕様のマイルド&ジャーマンブレンドです。
座りのよい四隅が角ばった最新の包装材料で、全体は茶で、正面四角のスペースはマイルドは金メタリック、ジャーマンは赤金メタリックで以前のデザインを踏襲致しました。
モカが復活しただけでなく焙煎度合いや配合等を見直し満足できる味に仕上げる事ができました。勿論、アラビカ種100%のコーヒーです。
今までも、“金パック”とか、“赤金パック”とか言われていましたが今後もそれで結構です。(少し金と赤金部分が少ないですが・・・)
創業60余年になるタカノコーヒーの顔ともいえる根幹コーヒー、日常のマイブレンドに相応しい“酸味系で甘い香りのマイルド”と“苦味系でコクのある旨味を強調したジャーマン”、いずれも飽きの来ない味に仕上がっています。
先代が残してくれた私のマイブレンドは今後も変わらないでしょう。


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2014年5月吉日
代表取締役 鷹野孝雄